いつか自分だけの本屋を持つのもいい〜江口宏志・中西孝之〜

東京芸術学舎によるアートカレッジ「いつか自分だけの本屋を持つのもいい」。初回はブックディレクターの幅允孝さんでした。

いつか自分だけの本屋を持つのもいい〜幅允孝〜

第二弾は、本屋ユトレヒトの江口さんとschooの中西さんが登壇し、nomazonについて話されました。



ユトレヒト
書店ユトレヒト


スクー
スクー



nomazonは「amazonにない本」をテーマに、各所から独特な本たちを集めています。
以前にも当ブログでご紹介したことがあります。

nomazon—片隅が集まる場所

実は、nomazonの誕生には今僕がインターンしているSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS が関わっていました。
講座でその事実を知りました…

SHIBUYA PUBLISHING&BOOKSELLERS
SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS


以前僕と同じようにSPBSでインターンをしていた中西さんは、江口さんにSPBSのメルマガに寄稿してくれないかと依頼にいったそうです。
その際、単なる書評ではつまらない、という江口さんの言葉で、amazonにないちょっと珍しい本を紹介するというnomazonの原型が生まれたとのこと。
メルマガの時は、自費出版の写真集を紹介行っていたそうです。

以前に比べ自費出版の写真集を出すのは簡単になっていたため、「自費出版なのに」クオリティが高い、「自費出版なのに」切り口が斬新、などテーマを分けて紹介されていったという話でした。
そしてメルマガは一旦終了したものの、nomazonはwebサイトとして復活を遂げます。


さて、nomazonには興味深い本がたくさん並んでいるものの、「あれ?これって、本?」と、ちょっと足を止めてしまうものがいくつかあります。

文月悠光さんの原稿用紙タイツ  タベルメ(名刺シリーズ)

ここから、講座では「どこまでが『本』だろう?」という話へと移っていきました。

これに対するnomazonの考え方の一端を示すのが、「powers of ten」です。

YouTube Preview Image



始め、江口さんたちはこの動画でいうビニールシートがamazonであり、周りの芝生をnomazonが補う、というイメージだったそうです。
しかし、動画を見て行けば分かる通り、シートや芝生…といった違いは小さな小さな点へと変わり、広大な土地、海、そして漠々たる宇宙が表れます。


中西 「視野が広がることで、周りにこんなにも大きなスペースがあることに気づいた」
ここで、みんなが持っている本という概念はどんなものなんだろうか、という問いが生まれたそうです。


例えば、「ブログ」と「本」は異なるものでしょうか?
web上で跋扈する文字たちはブログに留まりません。
例えば、文章を定期購読するメルマガは本でしょうか?
また、去年からサービスを開始したcakesもまた、有料で多岐に渡る記事を購読することができます。


cakes
cakes



と、ここまで問題提起をしておいて何ですが、「どこまでが本か?」という問いに答えは用意されていません。
本と本に非ざるものの間に、はっきりとした線を引くのは難しそうです。
しかし、「どこまでが本か?」という問いに立ち向かう上で、「なぜこれは本にならなければいけなかったのか?」という新たな問いは中々有効かも知れません。

ここで、講義は「『本』じゃなきゃだめな『本』」へと移っていきます。


中西さんの「今からジュンク堂みたいな本屋を作りたい、という人はあまりいないのではないか。」という言葉にはハッとしました。
それを当たり前に受け入れていて、わざわざ意識したことはありませんでした。
そのまま、「今書店を開こうと思っている人たちは、大きくないけれど必要とされる書店を作ろうとしていうのではないか。」と続きました。

講義の中で興味深かったのは、前回の幅さんの講義の時と同じく「地場」の話題が出たことです。
地場という言葉自体は使われませんでしたが、「どんな本が売れるか」というのがその地域に大きく左右される、という話は幅さんの話と非常に近しいものです。

ここで、ブックファースト新宿店と、丸善&ジュンク堂書店丸の内店のビジネス書籍ランキングを見てましょう。

ブックファースト新宿店ランキング

丸善&ジュンク堂書店丸の内店のビジネス書籍ランキング


2013年3月1日現在、ランキングは上位5つのランキングは以下のようになっています。

新宿






究極を極めよ 人が人を遇するのは最大の芸術である
※amazonで見つからず
究極を極めよ 人が人を遇するのは最大の芸術である




さて、打って変わって丸の内店のランキングです。





グローバルキャリアをめざせ! USCPA(米国公認会計士)合格へのパスポート
※amazonで見つからず
グローバルキャリアをめざせ! USCPA(米国公認会計士)合格へのパスポート

見比べてみると、丸の内のほうが硬派な本が売れている印象ですね。
何を売るかも大事ですが、どこで売るか、という点も大きく影響してくることが分かります。
(余談ですが、2冊もamazonにない本があって驚きました… 意外と万能ではない、というのを再確認。)


そして最後は、「未来の本屋について」話が展開されました。
講義を受けた方のお楽しみ、と言いたいところですが、以前から自分も気になっていた話題が扱われたのでご紹介。
それは、facebookアカウントを使ってすぐに本の貸し出しを始められるサービス、リブライズ。


リブライズ
リブライズ


最近はカフェなどに本棚が設置されているのをよく目にするようになりました。
そこで、このリブライズというサービスを使えば、リーダーを買うだけで本の管理ができるようになり、置いている本の公開、本の貸し出しが可能になるのです。

リブライズを開発したのは、下北沢にあるコワーキングスペース『下北沢オープンソースCafe』。
「世界の全ての本棚を図書館に」をコンセプトに掲げ、リブライズ普及を進めています。


講義は終始和気あいあいとした空気に包まれていました。
時には「国は書店を保護すべきだ」なんて言葉も飛び出したり。
子どものようにはしゃいでいた江口さんと中西さん。そんな「大人げない」姿勢があるからこそ、本の持っている”面白み”をグイグイと引っ張り出せるのでしょう。


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