図書館に訊け!

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渡辺謙が待っている!

図書館の怖いところは、利用者の関心やレベルに応じて、その相貌と機能を変えるところにある。このため、自分は十分利用できていると自認していても、知らず知らずのうちに稚拙な利用法で終わっていたりする。自分が成長しない限り、相手も変わってくれないのだ。


目から鱗がボロボロと落ちました。
そしたら視界がとってもクリアになりました。

前半は、圧倒的な図書館の使い方、本(主に学術書)の探し方のハウツー。
図書館がここまで整理されて、膨大な情報を蓄えているとは思いませんでした。

ここにある使い方の全てを、僕が直接自分で行うことはないだろう。
その専門性、というか、そもそも検索する力をまず身につけなきゃいけない。
と、だからこそ、タイトルの「図書館に訊け!」がきいてきます。

その前に少し話はずれて。

最近、「本との出会いが少なくなっている」という言葉をよく耳にします。
僕も同感です。

本屋に立ち寄りぼーと本棚を眺めふと目に留まった本に手を伸ばす、という機会は減り、自分が欲しいと目星をつけた本をamazonで購入し、終了する。
そんな行為が増えていると思います。
もちろん、amazonにはおすすめの本、といった紹介はありますが、関連した書籍ばかりで、「予期せぬ出会い」というのは少なくなってきている、と実感しています。

なぜなら、僕自身がそういった本の購入をしているからです。

なので、僕としては、人の本の出会いを増やしたいな、と思っているわけです。
このブログの趣旨も、そういった側面が大きいです。

でも、この本を読んで少し感覚が変わりました。

僕たちは本当に欲しい本を読めているんでしょうか?

直接、「この本が読みたい」と思った時だけに留まりません。
「こんなことを言っている本を読みたいなぁ」と思う。
ちょっと調べたみたけど、見つからない。
そこで終了している人も多いと思います。

フレーズ検索はご存知ですか?
googleでの検索で、「カレーとおでん」と調べたとします。
僕がいまどちらかを食べたいからです。さっきまではビーフシチューを食べてました。
そのまま調べると ★こう★ なります。

「カレーとおでん」という語句が調べられているわけではありませんね。そんな時は両端に ” をつけて囲ってやります。
すると、 ★こう★ なります。
これが、フレーズ検索です。

と、いうふうに、簡単に検索する、検索する、といっても、そこにはたくさんのテクニックがつまっています。

僕は今までの本の求め方は、「足りなかった」と痛感させられました。

そして、ここで出てくるのが、後半で描かれるレファレンス・サービスです。

使ったこと、あります?
僕は、まだありません。

本書に載っている研究でも、1000人の利用者に対して45人しか利用されていないそうです。
しかし、後半で紹介されるこのサービスの事例がすごい、すごい。

学生が、「ドメスティック・バイオレンス(DV)について調べたいんですけど、どうすればいいですか」と質問してくる。
それに対する反応が、こちら。


「DVについてどこまで調査は進んでいますか。またどの側面を分析するのですか。原因の分析ですか? 社会的な、それとも心理的な? 政府の制作を調査するのですか?」
「アメリカでの裁判記録なども必要ですか。DV関連法はもう入手しましたか」
「日本語で読めるアメリカの家庭内暴力の概説書は見ましたか? 翻訳されたその種の資料に目を通しましたか」
「日本でも問題になっていることですので、ひょっとしたら新聞でアメリカの家庭内暴力を特集した記事や連載がないかは調べましたか」
「DVを防止する協会や福祉機関のリストアップはどうしましょう」
逆に図書館員から質問されて、そんな資料もあるのか、統計数字も必要だと、話し合っているうちに少しずつ質問者の頭の中にある霧が晴れて整理されてくる。相談しているうちに、その段階で「いまの自分は何が調べたくて、どのような資料を求めているのか」が本人自身に理解されてくるのだ。


なるほど、の連続。
というか、こんな漠然とした質問も受け付けくれるんだなぁ、と感心しました。

最も驚愕したのが、太平洋戦争終戦の日、永井荷風と谷崎潤一郎が会っていて、昼前に別れたと日記に書いてあるのだけれど何時の電車で帰ったのか知りたい、という質問。

こんなこと、質問されたらどうしますか。
正直、僕はお手上げです。

でも、ここでされるアプローチが、圧巻。
結果から言うと、判明するんです。
そこまでの流れが、パズルピースを丁寧にはめていくようで、1つのミステリー小説のよう。
著者自身も、西村京太郎のようだ、と評しています。

もうね、スマートフォンのスタンドになっている渡辺謙と同じ。

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膨大な知識の迷路の案内人になってくれる。

それに面白かったのが、人生相談、恋愛相談は対応できない、とどの図書館も明記しているところ。
他にも、法律相談など。
失恋から立ち直るための本の調べ方は教えてもらえるんでしょうか。

しかも、何がありがたいって、著者が思っている以上に図書館の利用力は落ちていて、だからこそリファレンス・サービスの重要さはあがっていくだろう、ということ。

図書館の利用法について、


「そんなものは、先輩が利用しているのを見よう見まねで覚えるものだ」とか「図書館の利用法は、教えてもらうのではなく、職人の弟子が親方の技を盗むようにして身につけるものだ」と、求道者精神にあふれた優等生発言をする向きもあろう。


なんてことを言う人は、今や全くいないと僕は思っています。

これを読んでいて思うのは、「もったいないことしてるなぁ」ということ。
図書館が膨大な知識を蓄えていて、それを十分に活かしてくれるサービスもある。
あとはもう、僕たちがカウンターまで足を向けるだけ。

わからないことがあったら、ぼんやりとでも伝える。
どうすればそれが分かるようになるのか、手取り足取り教えてくれる。
そして自分で、独りでは思いつかなかった資料を手に入れる。

google顔負けですね。


追記
電子書籍について、ウンベルト・エーコから

「自動車は自転車より速く走りますが、自転車は廃れていません」

という言葉が引用されています。
今、このエーコと、ジャン=クラウド・カリエーの対談、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』を読んでいます。たまたま、リンクしました。
この本も面白いので、レビューを載せようと思います。



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