「若者の性」白書―第6回青少年の性行動全国調査報告

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「好きな人教えてよー」「偶数のクラスにいる人」「部活は?」「えー。吹奏楽部だよ」

情報化と性行動の関連についての第二の<思い込み>は、情報化の影響を一面的に理解してしまう誤りである。情報化は単一のトレンドではなく、情報技術を媒介とした多様なトレンドの複合体である。


おもしろい。
そしてもったいない。

全国の中学生〜大学生にたいして、1974年から6年間隔で計30年性への意識に対して調査した本。
始めは大学の課題のために借りて、ただのデータ集のようなイメージでした。タイトルも堅めだしね。
が、そんな無味無臭な本ではなく、その集めた膨大な資料の考察がキレキレの一冊。

と、いうか、考察の前段階の調査結果のセレクトも面白い。
単純なキスの経験率の推移から始まり、アルバイト経験の有無や、バイクを所有しているかどうかの調査結果も織り交ぜてくる。


そこで、バイクの保有に注目したところ、高校生の性行動を活発化させる傾向がみられた。とくに男子高校生の場合、バイクを持っている者では、キス経験率が71%であるのに対して、持っていない者では47%にとどまる。


確かに、そう言われてみればそんな気も。
こうやって客観的なデータとともに語られると、納得するとともに、無感覚だった日常をぐいっと見せつけられた気がして、面白い。

で、他にも気になった調査結果の1つが、若者の性に対するストイックさ。
大学生男子のキス経験率は、1974年は45.2%だったのが、2005年は73,3%と昇り調子。他の項目についても、性行動は早熟になっている模様。
でも、それは「性に奔放」ということには決してつながらない。
金品の授与を介した性行為、つまり売春や買春をよくない、と考える若者は増えている。同時に、避妊率も調査開始時から上昇中。
こいつはちょっと意外でした。

いろいろ深く考察もできるでんしょうが、簡単に1つ述べるとすれば、性ていうものが隠したり抑圧されるものではなくなってきていて、生活の一部や、愛情表現の1つとしての地位を持ってきたのかな、という気がします。

また、情報化についての指摘も、興味深い。
情報化を、単純に情報にアクセスする機会が増えた、と解釈することに待ったをかけます。
ここで出てくるのが、携帯電話とPCの比較。
調査の結果、一日に携帯でのメールや電話を多く使用する人と、PCを長い時間扱う人、という2つの層が生まれていることが分かりました。つまり、二極化が見られるということです。
そして、携帯のヘビーユーザーは性行動が活発かつ体験も多く、PCのヘビーユーザーは逆に、性的体験が少ないという結果が。

これも、言われてみれば、という結果。
共感できる方も多いと思います。

そして携帯電話が性行動に与える影響が2つあげられます。
1つは、単純に交友関係が広まるというもの。
もう1つは、すでにある関係をより親密にするというものです。


N.ルーマンによれば、レンアイの進展においては、お互いに相手の気持ちがわからずに逡巡するという問題(ダブル・コンティンジェンシー問題)を解決していくことが重要であるという(Luhmann, 1982=2005)。しかし、携帯メールのコミュニケーションのように、即応規範が働いている場合、この問題は、一挙に用意な問題となる。返信までの時間から、相手の自分に対する関心や自発性を読み取ることができるからである。素早い返信は、その実際の理由や内容がどうであれ、それ自体が相手に対する行為や関心の表明として理解できる。したがって、携帯メールのやりとりに夢中になっている男女は、告白以前に、告白を繰り返し確認し合っていることになる。


告白以前に、告白を繰り返し確認し合っていることになる。
これ、思い当たりのある人もいるんじゃないでしょうか。
あの駆け引きのような、甘酸っぱいやりとり。
博打のような告白もありましたけど、確認というか、決定打のためのような告白もありましたよね。

この本にうならされるのは、書き手の立ち位置です。1人が書いているわけではなく、オムニバスなんですけどね。

言うまでもなく、性の意識にはジェネレーションギャップがあります。
若者から見れば年配の方の姿勢は堅苦しく見えるし、きっと逆から見れば、現代の若者は性に奔放、と思われてもしかたないのかも知れません。
しかし、ここでの書き手の立ち位置はあくまで中立で、むしろ性に関する若者に貼られている思い込みというラベルを、証拠とともにベリベリと剥がして行きます。


たとえば、一流大学の学生との「合コン」だからといって健全だとはかぎらないし、逆に「異性メル友」との出会いがすべて性行動を伴うとみなすのも間違いである。大人たちは、バーチャルな空間における匿名性や仮構性を危険視する一方で、既存の社会関係は健全で安全だと考えがちである。


大人たちは、と言ってますが、もちろん書いてるのも大人。
とってもクール。

惜しむらくはタイトル。
新書のようなキャッチーなものであれば、きっと手に取り、楽しむ人も多いのではないかと思います。
でも、だからこそ、微力ながらこのブログで取り上げるかいがあるってもんです。

堅くもなく、とても真摯な一冊です。



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